コロナウィルスによる猫伝染性腹膜炎(FIP)

コロナウィルスによる猫伝染性腹膜炎(FIP)

去年の秋、ご近所さんの若猫が猫伝染性腹膜炎(FIP)で亡くなりました。FIPは、治療法も特効薬もなく、発症したらほとんどが死に至る怖い病気です。

最後の1週間お世話をしたのですが、その猫ちゃんは最後まで気高い女王様、かわいい猫ちゃんでしたね。

様子がおかしくなってから検査を重ねたところ(当初は違う見解だったけれど)最終的な診断はどうやらFIPのドライ型だということになり、もしそうであれば手の施しようがない、と。しかし、この病気自体がデータ不足のところもあるから、やれることをやろうという飼い主さんの判断で、栄養とステロイドで多臓器不全に陥る前にウィルスに勝てないか、祈るような気持ちで見守りました。一時は回復したように見えたものの、残念なことに祈りは届きませんでした。診断後の平均生存期間はたったの9日間、ほんとうにその通りになってしまいました。

非常にありふれたウィルスが、一部遺伝子の変異を起こして生み出される病気と推測されています。(諸説あり)

ここ1年、この病気に対する新薬の投与の情報を見かけます。国内では未承認の薬を個人輸入か協力病院に通院して与えているとのこと。80日超の投薬、薬代だけで7,80万円かかる模様。治療の選択肢は増えたようですが、誰でも受けられる治療法ではなさそう。

一方で、抗マラリア薬のクロロキンについて、FIP発症猫に投与したところ、臨床症状の改善が見られたという国内報告もあります。

そういえば、クロロキンは新型コロナウィルス(covid-19)に対しても、効果があるやないやと名前がでていましたね。

どちらについても、効果を期待したいところです。

純血種では発症リスクが高いという報告もあるようです。FIPが頻発している家系であるなら交配すべきでない。残念ながらペットショップで購入した場合は、猫がその後どうなったか、キャッテリー、ブリーダーへ伝わることがないのです。悲しいことは繰り返してほしくないですね。

猫は、本能的に体調不良を表現しません。そのため、うっかりすると異変に気付くのが遅くなってしまい、対処が遅れかねない。飼い主がパニックにならずに、冷静に対応できるよう、日ごろからよく観察したり、情報収集したりすることが大切だと思います。