幻のマルベリー酒

幻のマルベリー酒

桑の実、英名はマルベリー。育った上州ではドドメと呼んでいました。今思えば小学校までの生活圏は4割くらいが桑畑ではなかったか、そんな環境で育ったので、ドドメはポピュラーな初夏の果実でした。日常なにかとお砂糖を控えられていて甘さに飢えていた子供時代、ドドメは甘くて美味しかったです。ちょっと大人になってから食べてみると、酸味のないドドメの甘みを、嬉しくて何個も食べたいとは感じなくなっていました。

さて。鳥が種を運んできたのでしょう、いつの間にか我が家の庭に生えてきた桑の木、そのまま放置していたら、実をつけるようになりました。

完熟したら採って漬けよう(もちろんお酒にね)、と日々観察しているのですが、薄赤色の硬い実はいっこうに黒く熟さない。と思ったら、庭を訪問するカラスくんが熟した実だけ丁寧に食べていました。なんと賢いことか。この後全体が黒色になることはなく、いつの間にか実がなくなっていくことが予想されました。マルベリー酒は幻に終わるでしょう・・・。